硬式野球部

監督：桜庭　裕也

部長：原　章裕

　　　仲澤　脩斗

毎日

『野球で学ぶ』

　私は高校時代の甲子園３度出場，社会人野球で受けた戦力外通告，一から勉強をやり直 して入学した大学，３つの出来事を経験しました。これが私の野球観の土台になっていま す。

　中学卒業後，私は私立秋田経済法科大学附属高等学校（現 明桜高校）に入学し，野球 部に入部しました。監督さんの猛ノックを泣きながら受けていました。あの辛さに耐えた のだから少々の事には耐えられると今でも思います。挨拶の仕方，礼儀作法，言葉遣い， 目配りと気配りなどチームの一員として必須の習慣をきちんと身につけてはじめて甲子園 への道が開かれることを学びました。甲子園の大観衆から声援を受けてプレーしたことを 思い出します。

　高校卒業後，住友金属鹿島（現 新日鐵住金鹿島）に入社し，硬式野球部に入部しまし た。社会人野球は自社のチームに社運を懸けて戦う集団・組織です。勝利に対する執念は 凄まじく，一球・一打・一投足に社運を懸けています。勝利至上主義の意味を学びました。 しかし，社会人野球では３年で戦力外通告を受け，挫折を経験しました。社会人野球で の私は野球の技術が未熟だったと痛感しています。そこで私は，野球しか知らない無知な 人間だったことに気づかされます。もう１度自分の人生を見つめ直そうと，仕事を続けな がら通信制の大学で学びました。学費は自分の給料で払いました。仕事と学業の両立は困 難で１年間は何も手につかず，無駄な１年間を過ごしてしまいました。そこで，「教師にな って高校野球の監督になる」という目標を決めました。目標が出来ると余暇時間はレポー ト作成，夜勤を終えると授業を受けて仮眠し，また夜勤，ひたすら勉強に没頭しました。 中学・高校時代には敬遠していた勉強が面白くなりました。「やれば出来る」「成せば成る」 という言葉があります。目標を持つことがいかに大切であるかを身をもって体験しました。

　野球は「感性」が大事だと思います。社会人野球時代選手としてチームに貢献出来ませ んでしたが，監督とは何か？コーチとは何か？など指導者の観点から野球を学ぶことがで きました。なぜこの作戦だったのか？なぜこの選手起用だったのか？なぜこの練習だった のか？と考えた時，ただ直感だけで決めているのではなく，選手を多方面から観察して背 景まで追求し，根拠をしっかり突き詰めて決断することの大切さも学びました。また，練 習・試合・私生活などを通して選手同士の理解を深めるようにしていました。お互いの行 動を深く観ることで感性が磨かれて豊かになり，チーム全体の感性力となって勝利に結び ついていくように感じました。感性を養うことが私の野球観の礎になっています。

　東風高校野球部は，練習試合でも公式試合でも「勝ち」に執着します。強い信念を持っ て貪欲に勝ちを求めます。ただ「勝つぞ」という精神論だけではなく，勝つために何をし なければならないかを選手，マネージャーとともに議論しています。東風高校野球部はみ んなで話し合うことを大切にしています。

　東風高校野球部は野球ノートも大切にしています。部員一人ひとりが野球ノートに長期 目標，中期目標，短期目標を書いています。長期目標は個々人の将来の夢から始まり，中 期目標ではその夢の実現のために今，チームとして何をしなければならないかを決め，短 期目標は１週間の目標，１日の活動計画を記し，その達成度と成果を記入してどのような １日だったかを見つめ直し，振り返っています。提出された野球ノートに目を通していま すと，どのような気持ちで何を意識して野球に取り組んでいるか，野球とどう向き合って いるかが分かります。野球ノートに短いコメントを記し，アドバイスをしたり励ましたり しています。一人ひとりの生活の様子も感じ取ることができます。

　雨の日は座学をします。ある日のテーマは「作戦の確率」でした。道徳の授業で学んだ ＫＪ法を活用して議論しました。選手たちは目を輝かせて議論を戦わせ，部員全員が「作 戦の確率」について理解し，お互いの意見や考えを共有することができました。

　挨拶・礼儀・規律・チームワーク・助け合いも重視します。一人の力には限界があるか らです。一人ひとりが協働意識を持って野球に取り組むことが勝利に繋がるからです。野 球部員はバス停，最寄り駅，学校周辺のゴミ拾い，地域のボランティアなどの奉仕活動を 積極的に行っています。それが社会に貢献できる人材育成に繋がるからです。

　東風高校野球部はこのように一人ひとりの意見・考えを重視して，勝つ野球，人格の陶 冶を目指しています。

つくば国際大学東風高等学校

硬式野球部監督 　桜庭 裕也

（平成２０年４月就任）